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編集後記
吉峰 俊樹
pp.1216
発行日 2011年12月10日
Published Date 2011/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101613
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私の生活する神戸や大阪では,10月を迎えると木々の緑に勢いがなくなり,山々に黄や赤みが少し混ざってきます.人々の気分は落ち着いて日本の秋が深まります.11月は冷気のなか,六甲や生駒の山に毎年恒例の色とりどりのパッチワークができ上がります.さて,今は12月.木は枯れ,山は枯れ,空き地では枯れたすすきが穂を揺らし,街に出ると夕暮れどき,みぞれに濡れる路面を車がうしろ姿をみせて時折寂しく走り去ります.が,角を曲がると突然意表を突く賑やかなクリスマス音楽のなか,華やいだ街を人々が重なりながら行き交います.寂しさと華やかさのコントラストはなかなか心に馴染みません.
ふと病棟の患者さんを思い出します.賑わう街と静まりかえった病室,健康と病気.永遠に健康というわけにはいかないとすると,健康はとりあえず人々に預けられたプレゼントのようなものです.このプレゼントはいつも奪われようとしています.とすると,このプレゼントを守るために戦っているのが医学かなと思います.
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