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編集後記
吉峰 俊樹
pp.222
発行日 2009年2月10日
Published Date 2009/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100901
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橋本政明先生による「扉」の「患者中心主義」は鋭いご指摘である.ほんの最近まで医療は「医師中心主義」で進められてきたが,反動として「患者中心主義」が唱えられるようになった.が,今度は患者側に偏りすぎた感もある.橋本先生はこの両者は対立するのではなく,相互が協力することが重要であり,そのためには慈愛や信頼や礼儀が必要であると説かれている.
思い起こせば,ヒポクラテスの誓いにはパターナリズムにのっとった「医師中心主義」の面がある1).特に昨今重視される「患者への説明責任」や「患者の自己決定権」とは相反し,「医術の知識を外部のものに与えてはならない」(情報を公開しない),「自身の能力と判断に従って治療法を選択する」(治療法を決定するのは医師である)という.ヒポクラテスの誓いの現代版といえる世界医師会の「ジュネーブ宣言」もその性格はやはりパターナリズムといえるものであり,「患者側の権利」には触れられていない2).
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