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編集後記
𠮷田 一成
pp.224
発行日 2011年2月10日
Published Date 2011/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101367
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本号の「扉」は,「医療事故」がテーマである.先日,今は野党となったある大物政治家にお会いする機会があり,あいさつの中で,「政治が最も大切である」と仰っておられた.私も確かにその通りであると申し上げた.脳神経外科領域では,医療事故が起こると,深刻な結果をもたらす.それでは,医療事故と,治療成績,手術成績とは,どのような立ち位置にあるのだろうか.難易度の高い手術となると,手術成績として,morbidity,mortalityが指標となる.これが,もし医療過誤ということになると,業務上過失致傷,過失致死,という重罪となってしまう.医療に特化した法律がなく,刑法で裁かれるからである.これは,明らかに政治家の怠慢である.その後ある政治家は,出産に際して妊婦が死亡したことにより逮捕された産科医が無罪になったことを受けて,当面法律はこのままにしておこうということになっていると話していた.これが日本の現状である.「扉」で齋藤孝次先生は,医療事故とは何かということに始まり,マスコミの功罪,医師の過重労働,訴訟など,多くの問題を提起している.これらを解決するには,政治を動かすことも必要なのだろうか.
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