読者からの手紙
第3回国際スポーツ脳振盪会議
荻野 雅宏
1
1獨協医科大学脳神経外科
pp.810
発行日 2009年8月10日
Published Date 2009/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101000
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昨年(2008年)10月末,スイスのチューリッヒで第3回国際スポーツ脳振盪会議が開かれました.過去2回の会議を共催した国際サッカー連盟(FIFA),国際オリンピック委員会(IOC),国際アイスホッケー連盟(IIHF)に加え,今回は国際ラグビー評議会(IRB)も主催者に名を連ねました.このほど同会議の共同声明3)が発表され,今後もあわせると計9つの雑誌に掲載される予定1)です.
今会議での注目すべき点として,前回のプラハ声明2)で提唱された重症度分類(単純型と複雑型)が廃止されたこと,小児(5~18歳)に対しての慎重な対応がより明確に記載されたこと,現場での判断基準となるスポーツ脳振盪評価ツール(Sport Concussion Assessment Tool:SCAT)2,5)が改訂されたこと,などが挙げられます.従来の神経学的スクリーニング(言語機能,眼球運動と瞳孔,上肢のBarré徴候,歩行)に代わって,姿勢安定性検査(バランステスト)と指鼻試験が取り入れられた一方,改訂SCAT2のみに頼った脳振盪の診断や復帰の判断は不可,とも明記されています.評価は個々に応じて総合的に行われるべき,という基本姿勢は変わりません.
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