扉
どげんかせんといかん
竹島 秀雄
1
Hideo TAKESHIMA
1
1宮崎大学医学部臨床神経科学講座脳神経外科学分野
pp.725-726
発行日 2009年8月10日
Published Date 2009/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100989
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私が宮崎に赴任した3年前,時期をほぼ同じくして東国原知事が誕生した.彼は元芸能人という知名度の高さと明るいキャラクター,さらに“宮崎をどげんかせんといかん”というわかりやすいスローガンのもと県民の圧倒的な支持を取り付けた.就任後は,エネルギッシュにマスメディアに出演しては県産品のPRを行うだけでなく,議会での応対も堂々としたもので着実に実績を積み重ねており,現在でも新聞の世論調査では県民の支持率80%以上をキープしている.選挙時に掲げたマニフェストも中間時点で85%の達成率を上げているらしい.
ところが,十分に光の当たっていない部分も多い.その代表に地域医療崩壊の問題がある.特に,地域における1次救急システムが未整備であったことに加えて,コンビニ受診の増加により,これまで地域を一身に支えてきた県立病院などの基幹病院から過重労働などを理由にドミノ倒し式に医師の辞職や大学病院への引き上げが相次いだ.その結果,県南部や県北部では地域医療が危機に陥っており,しばしば地方紙の1面を飾っている.もちろん,このことはわが県に特有のことではなく,程度の差こそあれ大多数の地方が抱えている共通問題であると思われるが.
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