読者からの手紙
「5-aminolevulinic acidによる術中蛍光診断が有用であった肝細胞癌頭蓋骨転移の1例」の論文について
宇津木 聡
1
,
諸藤 陽一
2
,
松尾 孝之
2
,
林 之茂
2
,
平尾 朋仁
2
,
永田 泉
2
1北里大学医学部脳神経外科
2長崎大学医学部脳神経外科
pp.1120-1121
発行日 2007年11月10日
Published Date 2007/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100649
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貴誌に掲載の諸藤陽一先生らの症例報告「5-aminolevulinic acidによる術中蛍光診断が有用であった肝細胞癌頭蓋骨転移の1例」(No Shinkei Geka 35:913-918)を興味深く拝読いたしました.転移性頭蓋骨腫瘍におけるphotodynamic diagnosis(PDD)の有用性について述べておられます.著者らも述べておられるように,PDDは残存腫瘍がないことの確認にとても有用ですが,励起光は405nm近傍の短波長であり組織の表面の腫瘍の有無しかわからないこと,励起光の強さ,腫瘍の密度により蛍光の強さも変わること,蛍光の判断が主観的であることなどが問題となります.著者らは励起光として何を使用したか,その励起光の強さの記載がないのですが,写真から推測すると,D-Lightが使用されているものと思われます.これの長所は,広い範囲での観察が可能なことですが,われわれが使用している紫色半導体レーザー装置(VLD-M1®,M & M CO., LTD., 振幅波長;405±1nm,光出力40mW)では照射範囲は狭い反面,励起光の出力が強く,spectrometerを用いることでその定量性が得られ,客観的な判断ができることが優位な点と思われます1).特に浸潤部分のような腫瘍の密度が低い部分では蛍光が弱くなっていることがあり,直視下で蛍光が観察されなくともspectrometerを用いることで残存腫瘍を検出できることがあります1).このようにPDDの手技の違いによりその結果が異なってしまうことがあるので,方法の詳細な記載は必要と思われます.
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