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Ⅰ.はじめに
AVM(arteriovenous malformation,脳動静脈奇形)については近年,その自然歴とそれに影響を与える因子について,多くのことが明らかになり4),またstereotactic radiosurgeryやendovacular techniqueの発達により治療におけるオプションも増加している.このように様々な治療法が増加し,それぞれが高度にspecializeしてくると,1つの考え方で治療方針を普遍化することは難しくなりつつある.今や自分の施設の経験と報告された結果とのギャップや,それぞれの施設で中心となっている考え方を吟味しながら,個々の症例の治療方針を決定していくことが重要であると考えられる.このような状況の中でわれわれが治療方針の軸として考えてきた,microsurgeryによる摘出術はAVMにおいて完治をもたらし,いまだ重要な地位を占めているとともに,他の治療法の進歩とともにより厳密な適応と確実な技術の必要性がますます増加している.AVMに対する直達手術の問題点としては,以前より思わぬ出血合併症の管理が最重要課題であり,Spetzlerら17)が提唱したNormal perfusion pressure breakthrough(NPPB)やal-Rodhanら1)が報告したOcclusive hyperemiaの報告などが知られている.一方,最近われわれはnidus内のvascular loopの重要性を指摘している5).これらの知識や経験の集積により,AVMの摘出術は以前より安全に行われるようになっている.今回われわれの施設におけるAVM治療における手術の実際の留意点を,microsurgeryの手術技術を中心にシルビウス裂近傍のAVMに対する治療を対象として述べる.
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