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特集 脳卒中の外科
治療の進歩
脳動静脈奇形によるクモ膜下出血
Arteriovenous malformation:a cause of subarachnoid hemorrhage
半田 肇
1
,
橋本 信夫
1
Hajime HANDA
1
1京都大学医学部脳神経外科
pp.1577-1583
発行日 1975年12月20日
Published Date 1975/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206399
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はじめに
脳動静脈奇形は脳の血管奇形のうちもつとも多く,70%を占めている.その頻度は必ずしも明らかでないが,全頭蓋内腫瘍のうち2〜6%は動静脈奇形を含む血管腫(angioma)といわれる.症状は発生部位,大きさ,年齢で異なるが,クモ膜下出血や脳内出血をおこし死亡させたり,重篤な神経脱落症状をきたすことが少なくない.また痙攣発作をきたしたり,頑固な頭痛を伴うこともある.さらに進行性の神経症状や精神症状をきたし,まれには頭蓋内圧亢進症状を呈する場合もある3)5).
米国のco-operative study11)によると,脳動静脈奇形は全クモ膜下出血の原因の6%を占めている.また脳動静脈奇形のうち61%の例でクモ膜下出血の既往を有し,このうち,出血が致命的なもの10%,再出血をきたしたもの23%,再出血による死亡率12%となつている.さらに脳動静脈奇形の発症年齢は脳動脈瘤に比し20歳ほど若い5)(第1図).
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