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成田から,9時間余りの夜間飛行の後,晩春のシドニーに到着した.会場のあるダーリングハーバーへは,車で30分ほどで到着.途中,紫色の花が満開の桜を大きくしたような木が散在し,目を引いた.
第4回国際頭蓋底学会は,オーストラリアのSt Vincent病院耳鼻咽喉科のPaul A. Fagan教授の下,ダーリングハーバーを望むSydney Convention Centerにて,10月31日から11月4日まで開催された.48カ国から400名以上の参加があり,初日夕方の開会式に続き,4日間,4つの口演会場とポスター会場で約200演題を越す講演と60演題余のポスターが発表された.プレナリーセッションの中で,「聴神経腫瘍の現状」,「鼻咽頭腫瘍の病理とアプローチ」の2つのパネルデイスカッションと,3つの3D-Cadaveric demonstrationが企画された.3D-Cadaveric demonstrationでは時間の制約はあったものの,一部はreal timeでcadaver dissectionを行い,Laligam Sekhar教授,Ossama Al-Mefty教授など,expertにより,海綿静脈洞,中頭蓋窩,後頭蓋窩,錐体骨といった,頭蓋底外科の主要なアプローチのdemonstrationが行われた.頭蓋底外科はアプローチの観点からは円熟期に入った感はあるが,個々のアプローチの習得には外科解剖を熟知する必要があり,今回の3D-Cadaveric demonstrationは,教育的観点からも有意義な企画であった.今回は,学会名に「外科」が抜けており,「外科」に限らず,基礎から臨床まで,診断,治療,リハビリテーションにわたり,頭蓋底疾患を広く取り上げる姿勢が伺われた.全体として周到に企画されており,国際学会ではありがちな,直前の演題の変更などにもよく対応されていた.最近は,全てPC presentationであるが,今回も会場内LANで演題は中央管理されており,スムーズな進行であったが,複数の国のPC,あるいはOSの多少の違いからか,うまく動かないケースもあり,プレゼンテーションソフト,ハードはまだ円熟していない現状が実感された.また,国際学会にありがちな,演題の直前のキャンセルなどもあったが,的確に対応され,おおむね,会の進行は多少待たされることはあっても,各演題に対する討論は活発で,終盤は聴衆も少なくはなったが,熱心な聴衆が会を盛り上げた.
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