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Ⅰ.緒言
過去数十年にわたる研究者の努力により,日本脳炎の神経病理学はその発症の最急性期から,急性期,亜急性期,遷延期,慢性期に及ぶ病理形態発生と進展との組織学的解析により,ほぼその全貌が明らかにされてきている。
しかしながら,宿主―寄生体の相互関係により規定される感染の成立と進展との諸相は,宿主および寄生体双方の可変的な生物学的条件により多様に可変的なものでありうることは周知の通りである。そして自然界の「法則性」の中には,しばしば思いがけない,変則的例外がもちこまれてくる。ここに報告する日本脳炎の一例の組織像は,日本脳炎としても,またその遷延例としても例外的事象を含んでいるが,これを検討してみると,日本脳炎はもとより脳炎一般(殊に遷延型あるいは慢性型の)の組織反応の様態を知る上で,極めて興味あるまた示唆に富む所見を示している。
Histopathological study on an unusually protracted case of Japanese encephalitis (with short communication of clinical, serological and virological features) revealed the finding of chronic progressive granulomatous diffuse polioencephalitis, involving most severely diencephalon, basal ganglia, substantia nigra and Ammon's horn. Cerebellar cortex also showed unique granulomatous change in the molecular layer.
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