特集 脳のシンポジウム
主題:加齢と脳
結語
白木 博次
pp.649
発行日 1967年10月25日
Published Date 1967/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431906436
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福山,井上両先生に対して,とくに討論もないようですから,最後に私がまとめをのべます。ここで端的に申しますと,最後に井上先生がうまくまとめて下さつたので,これ以上,私がとやかくいう必要もなくなつたと感じています。私なども,加齢の問題は,受精あるいはその前から始まるのだという気持を,前々からもつていたわけで,でき上つてから,ただ下降線をたどる段階のものだけを追つかけてみても,加齢の問題はわからないし,後者がかりに加齢であるとしても,それに対立する概念であるdevelopmentやmaturationとの関連を考えることなしに,加齢の実態をおつかけても,永久に分らないだろうとおもいます。
しかし現時点で,このようなとらえどころのない課題を話せというのは,誠に無理なのは承知のうえで,演者の方々にご無理を願つてみますと,やはりこの問題は,現時点でもすでに重要であり,近いまた遠い将来においては,ますます大きな課題に発展せざるをえないものと痛感させられたのは,やはり大きな収獲だつたとおもいます。そして演者の方々自身にしても,それぞれの立場で,数多くの問題点をかかえていらつしやるという現実を,深く認識されたことと存じます。
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