誌上シンポジウム 骨粗鬆症性脊椎骨折の病態
結語
高橋 啓介
1
1埼玉医科大学病院整形外科・脊椎外科
pp.331
発行日 2008年4月25日
Published Date 2008/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101260
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骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折に対しては,一定の治療方針が決まっているわけではない.施設によってそれぞれ独自に治療されているのが実情と推測されていたが,原田らは全国規模調査を行い,その治療の実態を明らかにした.入院・外来治療,外固定の有無と種類,薬物治療の種類など,いまだに施設によってこれほど治療法が異なる疾患も現在ではそうないと思われる.この報告からも本症に対しての最適な治療法の確立が急務であり,そのための研究の必要性が痛感される.しかし,様々な因子が治療結果に影響を及ぼすと考えられ,簡単に結論の出る問題ではない.今後は学会などが主導しての大規模な研究の継続が必要である.
本症の病態で重要な問題の一つが椎体偽関節の発生である.中村らの調査では,6カ月以上観察した例の14.0%に偽関節が発生したと報告している.この頻度は本邦における他の報告と同等の頻度であり,偽関節の発生は稀ではなく一定の頻度で生じていることになる.また椎体後壁損傷例などで偽関節へ移行する比率が高いと報告した.さらに清水らは偽関節発生の予測に造影MRIが有効であったと報告している.このように偽関節がどのような場合に生じやすいかは,以前からの知見を含めて,ある程度明らかになってきている.今後は,その発生リスクが高い症例に対して,どのようにすればその発生を予防できるかが課題となる.
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