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はじめに
最近の分子遺伝学の発展により,神経疾患を含む多くの疾患の主要原因遺伝子や,連鎖分析により得られた遺伝子プローブが発見された。しかしこのような単一の遺伝子やそれに連鎖する遺伝子により起因する単因子疾患は,メンデルの法則に従う優性,劣性遺伝病であることが多いが,その頻度は少なく,その他の大部分の疾患は宿主要因と環境要因の相互作用によって発現する多因子疾患である。しかし環境要因に対する宿主側の反応性の個体差を決定するのは遺伝要因であり,とくに著しい多型性を有するヒトの主要組織適合系であるHLAは,その多型性の差が免疫応答の個体差を決定することが知られている。これまで数多くの疾患についてHLAが調べられ,神経疾患についてもHLAとの相関が数多く報告されてきたが(表1),その相関する機序については多くの仮説が出されている。最近HLA抗原の立体構造が決定され,さらにHLA系に新しい遺伝子が発見され,HLAと疾患の相関が分子レベルで説明されようとしている。
ここでは新しく決められたHLA抗原の特異性,HLA抗原や遺伝子の構造,HLAが疾患と相関する理由を示し,また最近の遺伝子工学の発展により急速に発展したさまざまなHLAタイピング法について概説し,最後に神経疾患とHLAについて述べてみたい。
Recently the understanding of the structure and function of human genes has made remarkable progress, and they have led to the diagnosis and mechanisms of the inheritated diseases at the DNA level. In the light of the progress we will discuss the multifactorial neurological diseases after giving an outline of the HLA system.
HLA genes are located on the short arm of chromosome on six and encoded for three classes. The class I molecules are expressed on the surface of all nucleated cell.
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