特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
HLA検査と染色体検査
HLA系とHLAタイピング
谷川 宗
1
1東京都立豊島病院輸血科
pp.580-582
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101907
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
HLA抗原(ヒト白血球抗原)は,ヒトの主要組織適合性複合体(major histocompatibility complex:MHC)と呼ばれる生物学的に重要な遺伝子群の標識として臨床医学,基礎医学の分野で貴重な情報を提供している.遺伝的に父母から受け継いだ抗原であり,異常値といえるものはないが,臨床的には臓器移植の実施に際して必要であり,またある種の疾患と相関がある点で重要である.
HLA抗原は従来,抗血清を用いて同定されてきた.主なHLA抗原には,白血球をはじめほとんどの有核細胞膜表面上に表現されているクラスⅠ抗原のHLA-A,B,C抗原と,B細胞やマクロファージなどの限られた細胞にしか表現されていないクラスⅡ抗原のHLA-DR,DQ,DP抗原がある.HLA抗原(血清型)はHLAの系に数字を付して表す(例えばHLA-A1,HLA-B8など).近年,PCR(polymerase chain reaction)法を応用し,HLA抗原特異性を決定しているエクソン塩基配列の多型性を直接同定するDNAタイピングが可能となった.HLAの遺伝子型の命名は,座の表示(A,DRなど),蛋白(クラスⅡのみでB1など),アリルの名が続くことを示すアステリスク(*)をつけて,主要な血清学的特異性(例えばHLA-DR4であれば04),そしてバリアントの序数(例えば02)でなされる.例えば,DRB1*0402,A*0203などのごとくである.なお,「日本組織適合性学会;JSHI」のホームページ1)に,HLAの抗原やアリルに関する最新情報および検査法に関する情報が記載されている.
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