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はじめに
エレクトロニクスやコンピューターの技術の進歩が科学の進歩に大きな貢献をなしている一つの実例として,視覚誘発電位の研究の進歩が挙げられる。視覚誘発電位の研究の歴史的経緯を考えるときに5つの重要なepochが挙げられる。第1は,Dawson1)がsuperimposition techniqueを紹介し,Barlow2)が平均加算法を導入したことにより,背景活動脳波から視覚誘発電位を検出する技術が確立したことである。第2は,1960年代後半になりパターンリパーサル刺激法が導入され,Cobbら3,4)やHallidayら5〜7)によりパターンリバーサル誘発電位の研究の礎が築かれたことである。第3は,双極型網膜電図電極の開発により,網膜電図と大脳誘発電位を同時記録し,網膜—中枢伝導時間を測定する技術が生まれたことである8,9)。第4は,最近の誘発電位二次元表示法の開発により,視覚誘発電位の電位分布を二次元的に描出する研究の道が開かれたことである10,11)。第5は,1984年に米国脳波学会から12),翌1985年に日本脳波筋電図学会から13)誘発電位の測定指針が発表され,パターンリバーサル視覚誘発電位の臨床応用に関する認識がいっそう高まったことである。本稿では,パターンリバーサル誘発電位の測定方法,正常像,異常所見について最近の研究成果14〜25)を踏まえて解説する。
The introduction of pattern reversal stimulation has resulted in widespread application of visual evoked potentials (VEPs) to detect lesions of the visual pathways.
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