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I.はじめに
数多くある神経伝達物質の受容体の中で,アセチルコリンレセプター(AChR)は,最初に単離されたものである1)。その後,この分野の研究はめざましい勢いで増加してきた1)。しかし現在でも,その1次構造がcDNAを用いた遺伝子工学的方法で決まっているのはAChRだけである2)。このように研究が進んだのには,いくつかの原因があった。すなわち,デンキウナギやシビレエイのような例外的にAChRを豊富にもっているものが利用できたこと,アセチルコリンの結合部位に対して非常に高い特異性を持つα-ブンガロトキシンのようなヘビ毒α-トキシンが利用できたこと3),などがあげられる。
AChRの分子としての研究は,以下のような経過をとって進展してきた。まず,デタージェントで抽出したものがアセチルコリン(ACh)の結合能などその性質を維持していることが分かった4)。ついで,デンキウナギやシビレエイの電気器官から精製された。またそのサブユニット構造がわかった5)。それらについて部分的な1次構造が決められた6)。さらに,膜ベシクルへの再構成ができた7,8)。脂質2分子膜への再構生もでき,電気生理学的な研究と結びついた9,10)。その結果,神経伝達物質の中でもっともよく分かっている分子となった。
The nicotinic acetylcholine receptor is not only one of the most well-characterized receptor for neurotransmitters, but also one of the most thoroughly investigated membrane proteins.
Acetylcholine receptor is isolated as an intrinsic membrane protein from electric organ of electric fishes or skeletal muscle and is shown to be composed of four different subunits assembled in a transmembrane pentamer α2βγδ. The complete sequence of the four subunits has been obtainedby the application of comptementary DNA cloning and sequencing technique.
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