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老年痴呆(Alzheimer病を含む)の症候は1)精神症状,2)神経心理学的症状,および3)神経学的身体症候の3群に大別することができる。観念的には精神症状は大脳皮質のびまん性萎縮に,神経心理学的症状は大脳皮質の局所性病巣に,そして神経学的身体症候は下位神経機構が上位機構から解放された結果に対応する症状とみなすこともできよう。老年痴呆は脳萎縮性変性疾患を代表するものである。他の神経変性疾患におけると同様に,老年痴呆は潜行性(insidious)に発症し,進行性(progressive)であり,しかもその症状の性質は解剖学的ではなく,機能的(系)に規定されており,比較的特定の機能が時間的順位性をもって選択的に障害される傾向がある。多くの例で,発症から末期への時間経過に伴って,1)主観的精神症状(たとえば抑うつ気分や心気的訴えのように患者の自覚的症状が言語化して観察者に伝えられる症状),2)主観的—客観的精神症状(言語内容や行動の異常),3)言語による伝達手段を失って,客観的精神症状(たとえば表情や行動の異常),そして末期には4)主として神経学的身体症状が,順次症状の前景を占めるようになる。時には症状発現に先行して,たとえば家族の不幸,外傷や手術,失職など心理的ストレスが誘因となって比較的急性な発症をみることもある。
The symptoms of senile dementia were reviewed from the psychiatric, neuropsychological and neurological aspects.
Results of the statistical studies on a frequency of the symptoms in 216 inpatients with senile dementia, and of the follow up study for five years on the relationship between the clinical manifestations and radiological findings of the brain in the case suffering from Alzheimer's disease were reported.
The variety and diversity of the clinical manifestations in senile dementia was stressed.
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