Japanese
English
特集 老年痴呆
生理的老化脳の形態学
Neuropathology of physiological agcing brain
松下 正明
1
Masaaki MATSUSHITA
1
1東京都精神医学総合研究所神経病理部門
1Department of Neoropathology, Psychiatric Rescarch Institute of Tokyo
pp.564-576
発行日 1985年8月10日
Published Date 1985/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905712
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はじめに
生理的な脳の老化の形態学とは加齢に伴って(より正しくいえば,50〜60歳以降の加齢に伴って)出現してくる脳の形態学的な変化のことをいう。
加齢に伴ってということは,生理的な老化脳には個人差があり,ある年齢者の脳はすべて一様というわけにはいかないが,しかしそれでも多数例をもって統計的に処理すればほぼ加齢と正の相関をもって出現してくる変化という意味をもつ。また,生理的とは,痴呆,著しい記憶障害,人格変化,感情や意欲の障害などの精神神経症状がなく,脳器質性疾患32)と診断されることのない老人の,という意味合いで使われる。欧米では,このような対象を,non-demented,normal people(aged)と称することが多く,筆者はこれまでに"痴呆のない正常老人"という表現を好んで用いてきた30,31)。
Quantitative neuropathological studies, including our investigation, on the brains of non-demented normal old people were reviewed.
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