視座
基礎研究が衰退する!
尾﨑 敏文
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1岡山大学大学院・生体機能再生・再建学講座(整形外科学)
pp.525-526
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100307
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医療機関に支払われる診療報酬の2006年度改定において,全体で3.16%の「過去最大の引き下げ」となった.診療報酬引き下げにより,減収となる医療機関側のコスト抑制が行き過ぎる可能性がある.そういうことで,われわれ医師を含む医療従事者の労働条件はしばらくは改善されそうもない.
実際,医療現場はまったく人が足りない.医師も,看護師も,医療秘書も足りない.私自身,少し若いころは「ゆとり否定派」で,一気に仕事に突っ走ってしまったような気がする.しかし,当時は医療に対する風当たりは今のように強くなく,古きよき時代であった.現在のような多大なリスクを負いながらの厳しい労働条件は,受け入れにくい若者が多いのではないか.何とかしなくては,医療全体のレベルが低下する危険性がある.まして,基礎研究にまで手を出そうと思う若手医師の数は限られてきている.
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