Japanese
English
シンポジウム 精神障害者の権利と能力—精神医学的倫理のジレンマ
痴呆性老人の権利の保護とその問題点—精神病院外で
A Question of Personal Rights in the Demented Elderly
柄澤 昭秀
1,2
Akihide KARASAWA
1,2
1東京都老人総合研究所
2現,日本社会事業大学
1Department of Mental Health, Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology
2Japan College of Social Work
キーワード:
Personal rights
,
Maltreatment
,
Dementia
Keyword:
Personal rights
,
Maltreatment
,
Dementia
pp.867-874
発行日 1993年8月15日
Published Date 1993/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903502
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
■はじめに
高齢者人口の増加は必然的に老人患者数の増加をもたらす。このことは加齢と関係の深い老人性痴呆について特に顕著である。8年前に約80万人であった我が国の痴呆性老人数は現在ではすでに100万人を越えている。そしてその有病率が低下しないかぎりその数は今後もさらに急激な増加を続け,10年後には150万人,20年後には270万人を越えると推定されている。痴呆対策が我が国の重大な緊急課題であることは今や周知の事実である。
さて痴呆問題への社会的関心が高まり,痴呆性老人の生活の実態が明らかになるにつれ,痴呆性老人の人権あるいは権利の保護という問題についてあらためて検討することの必要性が実感されるようになった。筆者自身の経験でも,調査や相談あるいは診療の場面で人権無視,人権侵害と思われる事態を見聞することは決して稀ではない。
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.