Japanese
English
特集 痛覚
さざ波,波浪および潮流—損傷が痛みに及ぼす効果の時間的外延
Ripples, waves and tides: The extension in time of the effect of injury on pain.
Patrick D. WALL
1
,
横田 敏勝
2
D. WALL Patrick
1
,
Toshikatsu Yokota
2
1Cerebral Function Group, Department of Anatomy, University College London
2滋賀医科大学第一生理学教室
1Cerebral Function Group, Department of Anatomy, University College London
2Department of Physiology, Medical College of Shiga
pp.881-901
発行日 1982年10月10日
Published Date 1982/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905438
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池に石が落ちると,この突然の事象が一団の水の安定性をかき乱す。石の力は,水の一団に備わった巨大な復元力に比べると物の数でない。大きな質量の水が小さな質量の石を受け入れて反応し,処理してしまう。この観察から,より大きく,より長期的な擾乱に対する水の反応様式を予測する外挿が可能だろうか? 理論上の答は可であるが,実際上の答は否である。風が静かな海面を定常に吹いていると,波が立ち,その波形や振動数は水の石に対する反応の説明に工夫された物理法則に正確に従うだろう。しかし,波高と風速の増大につれて,波の頂がうねりだし,砕け始める。自由な水滴は,今や水力学的法則よりむしろ空気力学的法則に従うだろう。物理法則を分割せずに,さざ波の説明に用いた計算から全過程を予測できたかもしれない。しかし,実際結果の不連続が生じた。連続性や予測性は大きな知的満足をもたらすが,高まる暴風のただ中の小舟にいる水夫にとって,それほど満足に値しないだろう。われわれが調べるべき水の運動には,第二の型の不連続がある。短期事象を考えるなら,海が固い容器の中に収められ,水は不動の背景である海底と海岸の上を動くといっても不合理でない。しかし月が頭上を回り,定常に動く波浪と潮流を産み出している。単独の潮流は,暴風波浪の壮大さに比してそれほど重要でないし,劇的でもないように見える。しかしそれは一定方向に間断なく流れて海底を徐々に浸食する。
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