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はじめに:脳動脈攣縮と手術時期の選択
脳動脈瘤破裂および外傷などによるSAHに伴なって主幹脳動脈に発生し,長期間持続する血管平滑筋の収縮(脳血管撮影での血管内径狭小化)を脳動脈攣縮(cerebral arterial spasm)と呼んでいる。本稿では脳動脈瘤破裂によるSAHに伴なう脳動脈攣縮(VSと略記)について,その成因,治療法に関する最近の知見を紹介したい。
SAHの発作後数日を経てから,徐々に意識状態の悪化,片麻痺などの神経症状が発現し,時には死に至るほど重篤な経過をとる症例があることは早くから報告されている。これらの症状(delaycd ischcmic dcficits)とVSとの関連はRobertson(1949)1)の剖検例における検索,またEckerら(1951)2)の臨床例での脳血管撮影所見により初めて示唆された。その後から現在に至るまで,VSが脳動脈瘤破裂によるSAHの予後を決定する上できわめて重要な因子であることを示した報告は数多い3〜8)。VSが諸神経症状を発現させる機序としては,剖検例における梗塞巣また最近ではCTスキャンにおける低吸収域の分布との相関から,動脈の高度の収縮による支配領域における血行不全が考えられている。
In spite of the past extensive researches, the pathogenesis of vasospasm following subarachnoid hemorrhage (SAH) has remained obscure. Since the advent of the computed tomography in neurosurgical practice, however, the clinical characteristics of vasospasm have been fairly well disclosed.
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