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重症筋無力症に限らず,すべての疾患の治療の究極の目標は治癒であり,そこでは薬物はもはや必要でなく,恒久的な寛解状態が持続しなくてはならない。
近年重症筋無力症の病因解明には目覚ましい進歩が見られ1,2),病因に迫る治療法により治癒をもたらしうる可能性が出てきている。とくにアセチルコリン受容体(AChR)抗体産生にかかわる胸腺の役割が明らかになるにつれ,現在早期の胸腺摘除術が最も本質的な治療法であることには異論はないと考えられる3,7)。しかし,胸腺摘除術単独では多くの場合寛解に至るまでに長期間を要すること,術後数か月から数年にわたる不安定期があること8),とくに術後の合併症などが問題となる。これらの問題点を改善するため,同様に病因に近づく治療法である,副腎皮質ステロイドをはじめとする免疫抑制療法や血漿交換療法などを併用することが行なわれてきている3,6)。いくつかの例外はあるが(riskのため,あるいは患者が希望しないために胸腺摘除を行ないえない場合,また現在胸腺摘除術が適応と考えられていない眼筋型および小児は別として),ステロイド療法は胸腺摘除術と組み合わせることに本質的な意義があって,早期の症例については治癒に至らしめうることを強調したい。ここではわれわれのところ(千葉大学神経内科)で行なっているステロイドと胸腺摘除術との組合わせによる治療の経験をもとに,従来の知見をあわせて本治療についてのreviewを述べる。
Abstract
Since the major role of the thymus in the pathogenesis of myasthenia gravis was recently established, early thymectomy has been generally considered to be the treatment of choice for generalized myasthenia gravis. It is well known, however, that postoperative morbidity is not low often requiring intensive care for several days and symptoms fluctuate greatly for many months. Improvement may often take many years and most patients continue to require anticholinesterase drugs.
To minimize the morbidity, preoperative steroid therapy has been recommended and proved to be useful.
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