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I.はじめに
二昔前には重症筋無力症(MG)の治療は抗コリンエステラーゼ(ChE)薬による対症的治療が主流を占めていた。その結果はごく一部の症例では時として自然寛解に至るが,多くの症例では抗ChE薬依存状態となり,臥床生活かそれに近い生活になることが稀でなかった。胸腺摘除は術後のクリーゼやそれに基因する死亡が少なからずあることから,胸腺腫を伴う場合以外は,他の治療がすべて無効の場合に検討されることが多かった。やがて副腎ステロイド薬(以下ステロイド)が試みられるようになったが,抗ChE薬を徹底的に用いて,思うような治療効果が上がらなくなった後に使用されることが多く,効果が上がらなかった。もし胸腺摘除を行なうときは,ステロイドを打ち切りその薬効が消失してから手術をしたいという外科医の要望が強かった。
時が経過して今日ではわが国でも胸腺摘除がMGの本質的治療法と考えられるに至っている。しかしその前後の治療法についてはなおいくつかの異なった考え方がある。その一例は,前述の歴史的背景の延長として,抗ChE薬を第1選択とし,自然寛解を期待して長期治療を行ない,効果の上がらないことが確認された段階で胸腺を摘除し,術後も抗ChE薬を使用し,なお十分でないときにステロイド治療を追加するものである。
Early thymectomy is now accepted as the treatment of choice for generalized myasthenia gravis (MG). However, postoperative period is often complicated by requiring intensive care for several days and fluctuation of symptoms sometimes last for many months. It may often take many years before steady improvement is established. Thus most patients require continuous anticholinesterase (anti-ChE) drugs that could be harmful to the neuromuscular junction if used chronically.
To minimize these undesirable aspects of thymectomy, we instituted long-term pre- and post-thymectomy prednisolone therapy.
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