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Nakaneにより考案された酵素抗体法(ペルオキシダーゼ標識法peroxidase-labeled antibody method)は組織内の「物質の特異的局在を観察する」免疫組織細胞化学の一技法として近年種々の分野で盛んに利用されている。その理由として本法は,他の免疫組織化学的技法と比較し,いくつかの長所があることがあげられる。たとえば螢光抗体法との比較では,染色標本が通常の顕微鏡で簡単に観察できること,標本の保存が半永久的であること,また電顕的観察ができる点などがあげられる。また,フェリチン抗体法と比較してみると,光顕・電顕両方とも観察できること,さらに標識に用いるペルオキシダーゼの分子が小さく組織細胞内への標識抗体の浸み込みがよい点などが長所としてあげられる。とくに酵素抗体法によりミトコンドリアを含めた種々の細胞小器官内の物質の局在の観察ができる点は,きわめて有用と思われる。
本法の神経組織の観察への応用は,他の分野に比べまだ多いとはいえないのが現状であろうが,最近,視床下部における種々ペプチドの局在観察が盛んに行なわれてきており,S−100proteinのような神経組織に特異的と思われる物質も観察されている。われわれの研究室でも,ヒト,ラット視床下部におけるACTH系ペプチドの局在観察を中心に神経内分泌学neuroendocrinologyの酵素抗体法の導入を試みている。
Since Nakane first introduced the peroxidase-labeled antibody method to study the localization of hormones in the anterior pituitary gland, this method has been utilized at both light and electron microscopic levels in many fields of cell biology and pathology to localize various bioactive substances in tissue and cell as well. In the field of neurology, however, this technique has not been utilized as extensively as in the other fields of medicine.
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