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I.Introduction
振戦のような異常運動の神経機序を考える場合に次の二つの立場がある。一つは中枢神経のどこに障害が起こると振戦が出現するかを追求するもので,これまでに数多く行なわれた臨床病理学的観察や,実験的に中枢神経の破壊手術で振戦を作製しその責任病巣を組織解剖学的に検討するやり方がこれに相当する。もう一つはこれとはちょうど表裏の関係になると思われるが,中枢神経のどこに障害が起こるとそれまで出現していた振戦が消失するかを追求するもので,これは主として治療の目的で中枢紳経に侵襲を加えることや,偶然の機会に振戦が消失した時にその原因を探るというやり方が相当する。これらをまとめて考えてみると,要するに中枢神経には一方で,障害により振戦を発現させる系があり,他方,障害により振戦を消失させる系があると仮定することは可能であろう。簡単に言い換えれば,前者は振戦を抑制している系であり後者は出現した振戦を維持している系ともいうことができる。こういってしまえば,生体には振戦のような異常運動がある条件下ではいつでも発現して来るようで奇異に思われるが,実際よく見ると誰でも異常に興奮あるいは緊張した時に手がふるえるということは経験することであり決して稀ではない。このような一過性の振戦と異常運動としての振戦には共通の機序があり,一貫したものであると考えることは可能でわれわれはこのような仮説の下で研究をすすめている。
Abstract
On the basis of clinical investigations on various kinds of tremor in humans and of experimental studies in monkeys, the data being gathered from the literatures as well as from our own experi-ments, the neural mechanism of spontaneous sustained tremor was considered. Firstly, the neural structures, destruction of which might produce spontaneous tremor, were discussed.
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