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近年の神経学の発展はわれわれの眼からみてもまことに目覚ましいものがあり,かつてのように「心理学は総体としての行動を研究するのである。総体としての行動は部分的な反射や反応の集合以上のものである……」としてその成果から眼をそむけていることは許されなくなってきた。かくして多くの生理学的心理学者は自らその領域に足を踏み入れて直接情報を得ようとして,活溌な研究活動を続けている。
他方,このような基礎的研究に裏づけられて,臨床技術の発展もまた目覚ましく,脳卒中の際の応急処置の変化など素人にもその一端をうかがわせるのに充分である。植木教授の述べられたような脳神経外科手術の報告(Ueki,1966)に接して,筆者は驚異とともに畏敬の念を禁じえないものであった。それとともに,片側とはいいながら,かくも広範囲な大脳摘除によって,特定の感覚や運動機能はともかく,学習,思考あるいは感情,人格のような統合性の高い心的機能に影響を及ぼさないのであろうか,大脳は片側半球だけでこのような機能を果たしうるのであろうか,という疑問もまた禁じえなかった。
Abstract
As neurosurgery advances, the cases of hemi-spherectomy have been accumulated. We decided to examine experimentally the interrelation between anatomical, neurochemical, and psychological effects of hemispherectomy. We, psychologists, are anxious to know whether or not hemispherec-tomy, although unilateral but extensive excision of brain tissue, has any influence on such a higher and unlocalizable mental process as learn-ing, thinking, or personality.
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