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I.はじめに
破傷風は,感染病の中で特別な位置を占める。すなわち一般の伝染病と異なり,ヒト(あるいは他の動物)からヒトへの伝染ではなく,土壌などのなかにひそむ破傷風菌が,外傷によって動物の体内に入り,菌にとって条件が良い時には繁殖し,破傷風毒素(テタヌストキシン)を産生して,破傷風を惹起する。人類社会の工業化,都市化によって土との接触が著しく減り,また外傷処理の発達により破傷風感染の機会が減ったとはいうものの,破傷風から完全に安全であるためには,各個人の能動免疫以外に他の方法はない。予防注射の強制力の低下と,余暇の増大により自然および土に親しむ機会が今後増えるとすると,この病気は次世紀には再び工業国において増大する可能性がある。それにもかかわらず原因療法はいまだに発見されていない。
病気の主症状は,ドイツ語名のWundstarrkrampf(外傷性強直性けいれん)が示すごとく,身体各筋の過活動である。骨格筋の不随意性収縮はまことに強烈で,しばしば骨折を起こす。患者の苦痛は烈しく,治療には莫大な費用を必要とする。工業国では,終板遮断剤(クラーレなど)を用いて筋収縮を防ぎ,人工呼吸器につなぎ,人工栄養補給を行なう。治療開始と同時に受動および能動免疫を行ない,荒れ狂う病気が去るのを待つのみである。
Abstract
Studies of the effects of tetanus toxin on the motor system were critically reviewed. Tentative conclusions from this review are summarized:
1) Tetanus experiments could be classified into two categories; one is the experiment for elucida-tion of the pathogenesis of clinical tetanus; in the second type of experiment, tetanus toxin is used for convenience of study and not used for the simulation of tetanus. Readers of a tetanus study should note that the dose of toxin, methods of administration, and incubation times following application play a great role in determining the results.
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