Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.筋ジストロフィーの研究に蛋白分解酵素が注目される理由は?
筋ジストロフィー症の大部分が遺伝的であることは明らかであるが,その遺伝子異常がいかにして筋収縮蛋白減少に表現されるか,すなわちそのgene expressionの機構については,全く不明である。この点が解明されない限り本態は明らかにならないと考えられる。しかし現象としては筋の収縮蛋白質が著減しており,同時にその崩壊像が見られるという事実は皆が認めているところである1〜5)。この場合に収縮蛋白質の合成に異常があるかないかは今でも不明である。古い研究群では合成側にはたいした異常はないというデータが多く出ているが,非常に困難なこの測定方法論のゆえに最近の観点からはこれらには疑問が生じている。
しかし,収縮蛋白の分解には著明な促進があり,崩壊像が見られることは最も顕著な現象である。したがってこの分解の昂進を抑制できれば筋収縮蛋白のアトロフィーを相当抑えられることは明らかである。もちろん,筋収縮蛋白質も蛋白分解酵素(プロテアーゼ)により分解される。最近にいたり,純生化学領域において,ほとんど詳細なことは何もわかっていなかった筋中の蛋白分解酵素の発見があいつぎ,また既知のプロテアーゼについても,その性質解明が飛躍的に進展した。
Abstract
In order to elucidate the mechanism of muscular atrophy in progressive muscular dystrophy, the most important problems are classification and clarification of the intracellular proteases in skeletal muscle. Several proteases, CANP, lysosomal proteases and serine protease in skeletal muscle are becoming a worldwide problem recently. Although the studies of catheptic enzymes in dystrophic muscle has been reported extensively, it was clarified from the reacent studies that the description of their classification and properties has many erroneous results.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.