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特集 第13回「脳のシンポジウム」
Ⅱ.小脳症状を考える
一つの視角 不随意運動に対する小脳病変の影響の分析—Cerebello-cerebral Integrationの一つのモデル
Influence of cerebellar pathology on involuntary movements: A model of cerebello-cerebral integration
楢林 博太郎
1
,
千田 富義
1
,
近藤 智善
1
Hirotaro NARABAYASHI
1
,
Tomiyoshi CHID
1
,
Tomoyoshi KONDO
1
1順天堂大学医学部神経学教室
1Department of Neurology, Juntendo University Hospitals
pp.1313-1321
発行日 1978年12月10日
Published Date 1978/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905017
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小脳症状についてはこれまであまりにも多くの記載があり,症候学の上でもA. Thomas,G. Holmesらによって,古くすでに確立されたといっても決して過言ではないであろう。このように臨床神経学の歴史ではあまりによく開拓された小脳症状について,さらに新しい関心が生まれつつあるのは,最近20年の神経生理学の領域における目覚しい進歩のゆえであろうと考えられる。1層に横列に並ぶPurkinje細胞と深部核を中心として,それらへ投射するいくつかの系,細胞構造の相互の形態学的,生理学的関係,役割が著しく明らかにされ,中枢神経の中でもっとも明快にされたneuronal modelとしての位置をしめるにいたった。しかしながら,このように明らかになった小脳各要素,あるいは構造のはたらきやその脱落が,ヒトの小脳症状の説明,解明にどのように結びつくのかについては,現在,そのような試みの上にたった報告は少ない。
小脳に関する神経生理学的研究の牽引車であったJ. Ecclesは,1967年3月14日のChieago病理学会(Chicago Pathological Society)でこのことを端的に指摘したが,このことについては,筆者は前に「神経進歩」誌上において指摘したので,繰り返し述べることはしない。以下の小論においては全く視点を変えて,このような基本的な疑問の解決に迫ってみたいと考えた。
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