Japanese
English
綜説
青斑核の機能をめぐって
On functions of the locus coeruleus.
中村 彰治
1
,
岩間 吉也
1
Shoji NAKAMURA
1
,
Kitiya IWAMA
1
1大阪大学医学部高次神経研究施設
1Department of Neurophysiology Institute of Higher Nervous Activity, Osaka University Medical School
pp.1064-1076
発行日 1978年8月10日
Published Date 1978/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904995
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I.はじめに
青斑核(nucleus loci coerulei)または青斑(locuscoeruleus,LC)に関する研究は,1809年に,Reilがヒトの橋背外側部で第四脳室底に蒼黒色に見える場所として記載したことに始まるとされている。その後,核の同定に関して何度か混乱と錯誤がくりかえされたが,1955年にRussel69)が20種以上の動物の比較解剖を行ない,LCを近傍の他の構造から区別したことが現在までの研究のもとになっている。しかし,この段階ではこの核に積極的な興味が持たれることはほとんどなかった。その後,1964年にDahlstromとFuxe22)が,組織螢光法を用いて中枢神経系におけるモノアミン含有ニューロンの分布状況を示し,LCがノルアドレナリン(noradrenaline,NA)含有ニューロンの一つであることを確定するに至ったが,これが今日のLCニューロンの活発な研究のスタートとなったのである。これに続いて,Ungerstedt(1971)92)とMaeda(Maeda & Shimizu,1972)49)らが,ほぼ同時に,ラットのモノアミンニューロンの投射部位とその詳細な投射経路を追求した結果,LCニューロンは,脳のほとんどあらゆる部位にその軸索を分布していることが判明した。
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