特集 神経学における最近の研究
<臨床>
ロイコジストロフィー—Schilder以後65年
鴨下 重彦
1
1自治医科大学小児科
pp.853-855
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904960
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オーストリヤ出身の神経学者SCHILDER1)が有名なencephalitis periaxialis diffusaの最初の報告を出したのが1912年であるから,今年で約2/3世紀を経たことになる。この間の神経学の歴史は彼に対して好意的であったとはいえず,とくに最近はadrenoleukodystrophy(以下ALD)の登場によってSchilder病の名が消し去られようとしているのは広く知られている通りである。確かにSCHAUMBURGら2)が主張し,その後の報告によっても明らかにされたように,いわゆるSchilder病の男性例はほとんどすべてALDであると考えて誤りはないであろう。しかしながらSchilder病の原型といわれる1912年の症例は女性であり,この症例がALDであった可能性はほとんどなく,したがってALDでSchilder病を置き換えることには問題があり,もし1912年のような症例をSchilder病とするならば,Schilder病とALDとは別の疾患であるとの議論も成り立つ。以下,このような点を歴史的に考察してみたい。
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