特集 神経学における最近の研究
<臨床>
多発性硬化症—臨床・疫学から成因追求へ
黒岩 義五郎
1
1九州大学脳研神経内科
pp.851-852
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904959
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1.20年前には何が分かっていたか?―20年前の問題
多発性硬化症(MS)の約20年前はどうであったか? これを知るには,昭和35年の第1回日本臨床神経学会(現在の日本神経学会)のシンポジウムを見ればよく分る(臨床神経学,1巻1〜2号,1960)。この時期は米国ではKURLANDらの調査が終了したが,日本における有病率調査が国際的レベルで進行中であった(冲中,KURLAND,MCALPINE,REESE,黒岩,宮川,諏訪,勝木,植木,白木,荒木ら)。
日本において定型的MSは臨床的には見出されていたが,病理学者は存在を疑っていた。また,狂犬病予防接種後脳脊髄炎や実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)により,MSのアレルギー説が有力であったが,その抗原(起炎性物質)はきわめて漠然としていた。
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