Japanese
English
解説
静脈硬化と動脈硬化—その成因の違いをめぐって
Phlebosclerosis and arteriosclerosis with different pahthogenesis
竹林 茂夫
1
,
自見 至郎
1
Shigeo Takebayashi
1
,
Shiro Jimi
1
1福岡大学医学部第2病理
1The second Department of Pothology, school of Medicine, Fukuoka University
pp.381-389
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205038
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はじめに
ヒトには加齢と共に動脈硬化症の発生,進展がみられ,40〜50歳以降になると大動脈の硬化度は加速的に進行してくる。しかし隣を走る大静脈には最後まで同じような硬化性変化を認めることはない。大動脈硬化症の程度がどうであろうと,年齢がどうであろうと関係ない。われわれが動脈に認めているような硬化症は起こらない。高齢者でもその静脈内面は正常の肉眼所見を示す(図l)。この理由を最新の知見に基づく今日の動脈硬化成因説で説明することはできない。その秘密の多くの部分は壁の形態と機能を維持している両平滑筋細胞の性格の中にある可能性が高い。すなわち両血管平滑筋細胞のathero—genesisに対する比較研究は両血管の壁在因子の相違を明らかにすることになり,atherogenesisに対する動脈壁の特異性を浮き彫りにすることになろう。こうした観点から,われわれは色々なモデル実験を行ってきたが1〜13),最近の知見も交えて,この点について,私見を述べてみたい。
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