Japanese
English
特集 脳血管性障害・I
脳血管の攣縮
Cerebral Vasospasm
大友 英一
1
Eiichi Otomo
1
1東京大学医学部冲中内科
1Department of Okinaka's Internal Medicine, School of Medicine, Tokyo University
pp.398-410
発行日 1961年5月25日
Published Date 1961/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903924
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I.序言
一過性脳症状即ち一過性片麻痺,けいれん,失語症,知覚障害等の説明として血管攣縮(Vasospasm)(以後vasospasmと称す。)という言葉が好んで使用されて来ている。1928年Oppenheimer,Fishberg1)は腎機能不全のない高血圧の19歳の男で繰返して起るてんかん様けいれんが時に一過性失語症及び麻痺を伴うのをみたが病理学的に臨床症状を説明する所見を認めなかつた。発作時血圧が上昇しており上述の臨床症状は血圧の上昇と密接な関連を有していた。彼等は高血圧の状態で起る急性一過性の脳症状に対してhypertensive encephalopathyという名称を提案しその重要な原因としてvasospasm1)2)を挙げている。
所謂脳のvasospasmの存在の有無,その意義については議論が多く未だ解明されていない重要な問題で外国の学会3)でも活発な討論のみられるテーマである。医学に腫々の新しい研究方法が導入されている現在に於いても,このvasospasmに対しては直接血管を観察するという極めてprimitiveな方法の外に適当な手段がないためか多くの研究者の努力にも拘らずこの問題は依然混沌とした状態にある。
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