特集 神経学における最近の研究
<生理>
運動単位motor unit
本間 三郎
1
1千葉大学医学部生理学教室
pp.668-670
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904887
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運動単位motor unitはα運動ニューロンとそれによって支配される多くの骨格筋線維から成る。この概念はCREEDやSHERRINGTONら(1932)によって提唱された。個々の筋線維を筋単位muscle unitというが(BURKE,1967),運動単位活動の筋電図はこの筋単位の活動電位を記録していることになる。哺乳動物の筋単位は単一のα運動ニューロンで支配され,多重支配でないから,一個のインパルスで筋単位は興奮させられる。運動単位は運動を起こすための量的要素すなわち運動の機能単位と考えられる。
骨格筋中には筋紡錘という受容器が含まれており,これも骨格筋線維から成る。この筋線維を錘内筋線維といい,普通の骨格筋線維を錘外筋線維と呼んでいる。錘内筋線維はさらに核袋と核鎖線維に分かれる。これらはγ運動ニューロンの支配を受けているが,ある筋では錘外筋線維と核袋線維が同一のβ運動ニューロンで支配されている。したがってβ運動ニューロンは働きの異なる2種類の筋線維を支配しているので,このものは上述の運動単位の範ちゅうに入らない。一方核袋,核鎖線維はγ運動ニューロンの支配を受け,多重支配であったり,同一のγ運動ニューロンで核袋,核鎖の両線維が支配されたりしているので,これらも一般に運動単位とはいわない。
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