特集 神経学における最近の研究
<解剖>
Onuf核をめぐる2,3の問題
萬年 徹
1
1東京大学神経内科
pp.653-655
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904880
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.Onuf核小史
標題に掲げたOnuf核とは1899年ONUF(Onufrowicz)12)によって記載された仙髄前角の神経細胞の一集団を指す。ONUFはヒトの仙髄の細胞構築を研究し,1899年と1900年にその成果を発表し,それまで第2仙髄前角の腹外側細胞群の一部とみなされていた小集団はこれに属するものではなく独立したものであると唱え,その小集団にgroup Xという名称を与えた13)。彼の論文には連続切片によって研究を行なったことは説明されているが,染色法については何もふれていない。当時の細胞構築研究の常道として,彼がNissl染色を使用したことは容易に想像し得るし,事実,彼の論文の図譜からもこの推定は誤りではないと思われる。彼の研究はOBERSTEINER(1901)10),JACOBSOHN(1908)3)によりそのMonograph中に引用されている。しかし,いずれも1899年の予報的な論文の引用にとどまったと見え,1900年に出た詳細な論文は未検討のまま終ったようである。このように,ONUFの報告は当時の著明な神経解剖学者によって注目されたとはいえ,その後しばらく顧みられぬままに過ぎた。
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.