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I.はじめに
コンピューター断層(以下CTと略す)は脳実質の形態的変化の観察を可能にした最初の放射線的検査である。本装置で脳の萎縮性疾患を観察するとき,物理的特性にもとづく検査のマイナス面が他の諸疾患の観察の場合よりも一層強く問題になってくる。まず第一にほとんどすべての萎縮性疾患は脳実質から脳脊髄液までの狭いスカラの吸収値で病変の発見と鑑別を行なわなければならないという点である。第二には使用されたX線の特性,コリメーションの仕方,投影の方向―病変部位のコンピュテーションに影響する他の組織の存在―,デテクターの特性,ソフト・プログラムなどが小さな低濃度像の構成には相対的に大きな影響を及ぼすという事実である。第三には1.5×1.5×13mmのボクセルが解剖学的諸構造に当て篏められると,再現の難しいモザイク構造を与えているということである。萎縮性疾患の形態診断では神経解剖構造と病変の拡がりとの関係が厳密に考察されなければならないので,このボクセルの形は観察を歪ませているといっても言い過ぎないほどである。
今回は種々の萎縮性疾患のCT像を供覧するとともに,で上記の基本的問題を検討し,いくつかの制約を充分認識した上で本疾患群の鑑別診断の可能性を検討することにする。
We have discussed some basic problems on thereading of the atrophic processes in various diseases. Most of the atrophic lesions appear low in density on the CT image. It is extremely difficult to make differentiation between low density lesions by the aid of absorption coefficient number alone, because there is a small scale between the density of the brain substance and that of the water (=cerebrospinal fluid), and most atrophic processes appear within this small scale.
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