脊髄運動神経のTrophic Substance

Neurotrophic substance (s) in the spinal cord

I．はじめに

　脊髄運動神経の骨格筋支配の仕方には，現在のところ大きく分けて二つが考えられている。一つは，中枢神経からの命令をインパルスの形で神経末端まで伝え，化学伝達物質を筋に放出し，筋を収縮させることである。したがって支配神経の機能が消失すると筋収縮は停止する。この過程はミリ秒単位の時間経過で起こる速い現象であって，神経から筋へのこの情報を伝える物質はアセチルコリン（ACh）であることは確立されている。

　もう一つは，もっと長い時間経過で脊髄運動神経が筋の生理学的，生化学的，形態学的なさまざまな性質に影響を及ぼしていることである。影響を受ける性質としてはさまざまなものが含まれているが，これらに対する長期的効果を総称して，神経の筋に対する栄養的効果（trophic influence）と称している。

There is increasing evidence that muscle properties depend on the integrity and nature of their neuromuscular connections, but the mecha-nism by which the nerve exerts control is not yet fully understood. The study of neurotrophic effects in uivo is subject to a number of technical limitations. We used the extensor digitorum longus (EDL) muscle of the mouse kept in organ culture as an in vitro preparation. Dissected EDL was mounted on glass rod and cultured in 4 ml of the medium (85% Eagle's minimal essential medium and 15% horse serum).