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1.緒言
周知のごとく奇形の決定には,その原因いかんにかかわらず催奇要因の働く時期が重要である。中枢神経系に関しては,その器官発生の異常は胎生早期(推定授精後17〜43日ぐらい)が神経管閉鎖異常,無脳,眼球発生異常などの臨床的臨界期であるといわれる。しかし組織発生(Histogenesie)水準の形成異常はよく研究されているとはいえない。その理由として,1)正常発達の解剖学的着目が主で,病理,臨床からの異常例への着目があまりなされなかったこと,とくに器官発生上の形成異常には臨床的意義が認められるが,組織発生上の異常では臨床的意義が乏しいか不明である,2)組織発生上の異常は,正常のVariationsbreiteと明確な区別が難しいこと,つまりNormbereicheの研究がなお不充分であることなどが考えられよう。そして近年出生前診断が可能となったり,遺伝子治療の可能性も取り沙汰されるようになったこともあり,社会医療的にもようやく先天異常にも注目されるようになりつつある現状である。
本症例は,単に稀有な多発性奇形(Ullrich-Feichtiger Syndrom)の最初の詳細な神経病理所見の記載であるというだけでなく,その検討に際して組織発生異常の成因についても若干の知見がえられたので報告する。
Nicht spezifische Erscheinungen im Zentralnervensystem beim mannlichen Neugeborenen (19 Uberlebenstag) mit multiplen Abartungen derAkren (Ullrich-Feichtiger-Syndrom) wurden histologisch beschrieben.
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