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はじめに
工業化の促進,農業・林業などにおける殺虫剤などの使用,食品添加物の増加,医薬品の増加,自然環境汚染の進行などを含めた多くの要因の増加から,人類はますます中毒性・外因性の傷害にさらされる危険性を増している。これに伴って神経系の中毒性傷害は新しい様相のものを加え,水俣病やSMONのように,大きな社会問題,政治問題に発展するものも出て来た。そのなかにあって,小脳萎縮,小脳の選択的変性を来たすような中毒物質を問題としようとするときに,たとえば,有機水銀中毒のように,オートラジオグラフィや組織化学的手技によって,原因中毒物質の小脳への集中的沈着が証明され,傷害のetiopathogenesisが明らかにされたものは少ない。種々の中毒物質は,神経系以外の他の臓器も侵し,循環障害,代謝障害,呼吸障害,血液障害などを来たすので,中毒物質の小脳への直接効果の明らかでないものが多い。ことに,無・低酸素症における,プルキンエ細胞,人工呼吸による頼粒層神経細胞のvulnerability,肝性におこる,小脳核に著明なグリア反応などが問題である。自己融解過程や,標本作製時の人工変化も,ことに小脳では慎重に解析されなければならない。
Resulting from many causes, including expansion of industrialization, use of large quantity of insecticides in agriculture and forestry, increase of medicine, progression of environmental polusion etc., we are exposed to so many toxic agents. But the toxic substances which lead to selective cerebellar degeneration and atrophy are relatively few, and especially, which are proved to injure the cerebellum directly are rare, except mercury for example.
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