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特集 医学における霊長類の研究
薬理学におけるサル実験の有用性
Usefulness of monkey experiment in pharmacology
城戸 良之助
1
Ryonosuke Kido
1
1塩野義研究所
1Shionogi Research Laboratory
pp.587-590
発行日 1970年11月30日
Published Date 1970/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904656
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社会行動,条件反射などを利用する薬理学的研究や,麻薬の依存性を調べる研究で,サルは優れた実験動物であることは言うまでもない。新しい薬を発見し,多くの人々の病気の治療,健康の維持に役立てるための研究を行なつている薬理研究者にとつて,もつとも厚い壁は,動物によつて臨床効果を見通さなければならないことである。たとえばパルビタールとその誘導体のようにマウス,ラット,ネコ,イヌからサルに至るまで,小量で催眠作用,大量で麻酔作用を来たす薬物は,ヒトでもほぼ同じ臨床効果が予測できる。しかしモルヒネのように,ネコに投与すれば,その行動は興奮の連続,イヌは意識を失い麻酔体位をとり,サルは実験者に対して攻撃,威嚇をとらなくなり,無関心状態となるような,実験動物によつて異なつた薬理作用が見られる薬物,すなわち種族持異性をもつた薬物の臨床効果を予測するのは大変困難なことである。図1はネコ,イヌ,サルにモルヒネ5mg/kgを静脈注射した際,動物の行動変化と脳波により,その意識水準の推移を図示しよものである(山本と城戸11))。
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