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特集 医学における霊長類の研究
サルにおける実験神経学(I)—小脳症状の再現について
Dysmetria in extremities and truncal ataxia reproduced by selected ablation of cerebellar structures
楢林 博太郎
1
,
小坂 健二
1
Hirotaro Narabayashi
1
,
Kenji Kosaka
1
1順天堂大学神経学教室
1Department of Neurology, Juntendo University School of Medicine
pp.579-585
発行日 1970年11月30日
Published Date 1970/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904655
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はじめに
ヒトにおける小脳症状の精細な分析,記述は臨床神経学の中の重要な部分をしめるものであることは云うまでもない。またこれに対して動物(ネコ,サル等)における実験的小脳症状の再現の試みも数多く報告されていて,実験神経学Experimental Neurologyの中での,過去における興味の焦点の1つであつたと云うことが出来る。また小脳各小部分の電気刺激や破壊実験の報告も数多い。ことに近年微小電極法を用いてのEccles等を中心とするMicrophsiologyの領野での業績の発展には著しいものがあり,その新しい知見との関連において,旧来の刺激,切除実験による古典的小脳症状の新しい解釈を試みようとする動きもまたいくつかみられる。
筆者等のこの小論文での試みはヒトにおけるパーキンソン振戦Tremorに対して視床腹側部,ことにVim核(Nucl. Ventralis Intermedius-Hassler)とよばれる部分が特異的に重要な意味をもつことを,ヒトの定位脳手術の機会に確立したことに伴つて,さらに小脳,ことに主として歯状核から視床VL核,Vim核その他への投射系のもつ意味を明らかにし,その振戦発生の機序や筋トーヌス調節の上で演ずる役割りを明らかにしようと考えて行われたものの1部である。
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