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特集 医学における霊長類の研究
感覚生理学でのサルの意義
Contributions of the primate researches to sensory physiology
酒田 英夫
1
Hideo Sakata
1
1大阪市立大学医学部生理学教室
1Department of Physiology, Osaka City University School of Medicine
pp.567-578
発行日 1970年11月30日
Published Date 1970/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904654
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はじめに
感覚の研究をする神経生理学者は常に人間の感覚の神経機構の解明を最終的な目標にしている。その場合,感覚の受容や情報処理についての原理的な研究には,それに適した実験材料として,いわゆる下等動物が選ばれることも多いが,ヒトの感覚器の,個々のエレメントの機能的な役割や,中枢神経での情報処理について正確な知識を得ようとする場合には,人間になるべく近かい動物での研究が必要になってくる。久保田氏が主に話した運動系についても,似たようなことが云えるが,感覚系では人間の意識にのぼる主観的な経験との対応が常に問題になるので,ヒトとの類似性が別の意味で重要になつて来る。霊長類を特徴づけるのは眼と手であると言われている。これを感覚についていいかえると,視覚系と手を中心とした体制感覚系に他の動物にはない多くの特徴があると言うことになる。これは末梢の感覚受容器と中枢神経系の両方について言えることである。そこで,この二つの感覚系を中心に,サルについての神経生理学的研究を見てみることにする。
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