特集 医学における霊長類の研究
はじめに
近藤 四郎
1
1京都大学霊長類研究所
pp.539
発行日 1970年11月30日
Published Date 1970/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904647
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昭和43年12月13,14日の2日間,愛知県犬山市の犬山ホテルで「生物科学における霊長類に関する研究の位置」というシンポジウムが開かれた。これは昭和43年6月に設立認可された京都大学霊長類研究所が,共同利用研究所としての発足にあたつて,このような表題のもとにわが国における霊長類研究の現状や将来を展望し,あわせて参会者から主として共同研究についての要望も伺いたいということにあつた。演題,討論は形態学,遺伝学,社会・生態学,心理学,生理学,薬理学などのひろい分野にわたつたにもかかわらず,活発な雰囲気のもとに行なわれたのは,時実利彦教授のすぐれた司会能力に負うところが大きい。その内容の概略については同教授により岩波の「科学」39巻7号に紹介されているが,シンポジウムの直後,主に医学関係の方から隣接諸科学の知見,あるいは考え方を学ぶことができて有益であつたとの御意見があり,一方,医学書院ではこれをとり上げてもつと詳細にシンポジウムの記録をとどめておきたいという企画を立てられた。しかしシンポジウムの後,斯学の進展とともにすでに2年に近い時点にさしかかつているので,このシンポジウムをもととしながらも,医学を中心として,これに必要と思われるものを若干加えて組み直す方が適切と考えるにいたつた。この意味で,新たに稿を起された江原,杉山,高岡,酒井などの方々に謝意を表したい。
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