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綜説
感覚ニューロンの変性と再生—嗅上皮に関する研究
Degeneration and Regeneration of Sensory Neuron: Studies on the Oltactory Epithelium
高木 貞敬
1
Sadayuki Takagi
1
1群馬大学医学部生理学
1Dept. of Physiol. Sch. of Med., Gunma Univ.
pp.152-163
発行日 1969年4月25日
Published Date 1969/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904594
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I.緒論
嗅上皮は嗅細胞,支持細胞,基底細胞から成る感覚上皮で匂の受容器として知られている。嗅細胞は匂の感覚受容細胞であり,また嗅神経線維の細胞体であつて,その核は円柱状の支持細胞の構成する表層と,不規則な形の基底細胞の構成する深層との間にはさまれて存在する。各嗅細胞の樹状突起(嗅桿体ともいう)は支持細胞の間を通つて嗅上皮の表面に達し,そこで嗅線毛をもち,"嗅小胞"と呼ばれる小さい"ふくらみ"を形成している。また各嗅細胞の軸索突起は嗅神経となつて,基底細胞の間を通り固有層に入り嗅球に向かう。固有層の中には多数の管状の腺が散在するが,これはバウマン氏腺または嗅腺と呼ばれ,嗅上皮の表面に排出管を通じて漿液性粘液を分泌する。支持細胞も多数の顆粒を持ち,嗅上皮表面に分泌する。
嗅細胞は感覚ニューロンである。一般に細胞体を破壊されたニューロンは変性し再生しない。また胎生期以後の段階ではニューロンは有糸分裂によつて増加することはないと考えられている(Cf. Fruhwald,1935)。しかしこの考えに反して,嗅細胞は再生するというデータが過去100年程の間に多くの実験で示された。
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