Japanese
English
特集 パーキンソニズム(第4回脳のシンポジウムより)
黒質の解剖学
Amatomy of the Substantia Nigra, its Historical Sketch
小川 鼎三
1
Teizo Ogawa
1
1順天堂大学医学部医史学
1Dept. of History of Medicine, School of Med., Juntendō Univ.
pp.825-830
発行日 1968年12月25日
Published Date 1968/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904547
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I.黒質の発見者は誰か
人脳において著明な存在である黒質Substantia nigraを初めて記載した人は誰れであろうか。私どもが学生のときは,解剖学用語によく人名が付されていたので,Substantia nigraはそのあとにSoemmeringiが付けられていた。そのために黒質の発見者はドイツの解剖学者ゼムメルリングSamuel Thomas von Soemmerring(1755-1830)であろうと永いあいだ思いこんでいた。
ところが黒質の比較解剖学に関するTorata Sano(佐野彪太)の論文(Monatsschr. f. Psychiatrie u. Neurologie. Bd. 27, 1910)をみると,黒質を最初に記載したのはフランスのヴィック・ダジールFélix Vicq d'Azyr(1748-1794)であり,ゼムメルリングより5年ほど前に人脳のその場所をlocus niger crurum cerebriとよんでいると書いてある。
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