Japanese
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特集 パーキンソニズム(第4回脳のシンポジウムより)
黒質色素顆粒の電子顕微鏡的研究
Electron Microscopic Profiles of Pigment Granules in the Substantia Nigra
広沢 一成
1
Kazushige Hirosawa
1
1東京大学医学部解剖学
1Dept. of Anatomy, Faculty of Med., Univ. of Tokyo
pp.831-838
発行日 1968年12月25日
Published Date 1968/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904548
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I.黒質とその顆粒
黒質という変つた名前はこの神経核が肉眼で黒つぽく見えるために与えられたが肉眼で黒く見えるのはヒトの黒質だけで,これは主としてpars nigraの神経細胞中にmelanin様色素顆粒を含んでいるためである(Olszewski and Baxter '53)。ヒト以外の動物では霊長類(Scherer '39,Adler '42)や食肉類(Brown '43,Marsden '65)などでもmelaninが顕微鏡的に認められる。melaninの代表的なものは表皮中のものであるがそれはいくつかの特徴がある;albinoには存在しないこと,有機溶媒に溶けにくいこと,1%過酸化水素水で還元されること,ammonia性硝酸銀を還元すること,中性脂肪染色陰性,PAS反応陰性などてある。この黒質中の顆粒はmelaninと呼ばれるには少し資格に欠けるところがある。表皮のmelaninと区別される特徴の一つはこの色素顆粒がalbino患者の黒質にも存在することで(Foley ane Baxter '58),tyrosinase以外の酵素によつてその形成が触媒されることを示唆している。組織化学的にもPAS反応弱陽性,PH1.0でのthionin染色黄褐色,methylation効果などで表皮のmelaninとの差異か指摘されneuromelaninともよばれる(Lillie and Yamada '60)。
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