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特集 脳研究の進歩—東京大学脳研究所創立30周年記念
脳浮腫の研究
Study of Brain Edema
植木 幸明
1
K. Ueki
1
1新潟大学脳研究所脳神経外科
1Dept. of Neurosurgery, Brain Research Institute, Niigata Univ.
pp.476-494
発行日 1968年8月25日
Published Date 1968/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904523
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I.緒言
脳浮腫は広汎な中枢神経系の疾患に随伴し,重篤な病態を惹起し,時には原疾患を遙かに凌駕して患者を死に追いやる。それのみならず中枢神経系以外に原発する疾患に於ても,軽重種々の脳浮腫を続発することのあることもよく知られた事実である。即ち脳浮腫は脳の手術時に急速に発生するまさに脳腫脹といわれるものから重篤な脳挫傷,急性頭蓋内出血,重篤な脳溢血,脳腫瘍の末期などに随伴し,それに対する適切な処置がとられなければ生命を奪われるものであり,更に脳挫傷,脳腫瘍,くも膜下出血なども脳浮腫のために症状の悪化を来すものである。又比較的慢性疾患に於ても炎症性疾患,中毒性疾患などに随伴し,その症状を多彩にする。一方疫痢などの際に高度の脳浮腫をきたし,死の転帰をとることも周知のことである。
かかることから脳浮腫の研究は古くから行なわれてきた。しかし近時電子顕微鏡的研究の導入と,精細な生化学的研究力法との採用により新たな観点から再び活発に研究が行なわれている現況である。
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