Japanese
English
原著
大脳深部・天幕下腫瘍の臨床脳波に関する研究
Clinical Electroencephalography in Cases of Deep Subcortical and Infratentorial Tumours
中井 昴
1,2
,
植木 幸明
1,2
Osamu Nakai
1,2
,
K. Ueki
1,2
1新潟大学第2外科学教室
2新潟大学附属脳研究所
1Depertment of Neurosurgery, School of Medicine, Niigata University
2Depertment of Brain Research Institute, School of Medicine, Niigata University
pp.816-839
発行日 1961年12月25日
Published Date 1961/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903956
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.緒言
脳腫瘍の患者に脳波検査を行なう最も主要な目的は,腫瘍の局在診断であり,Walter60)(1936)以来その研究は主として脳波の限局性異常の把握に向けられ,多くの業績の発表をみている。腫瘍による脳実質の破壊を来す器質的障害では,すでにFörster & Altenburger17)(1935)やWalter60)(1936)が指摘した如く腫瘍それ自体は電位変動を欠き,それに接する部位で循環障害・代謝障害等による異常電位変動の発生をみるのであり,更に腫瘍から離れたところでは電位変動は正常の水準に近づく。この電位の差を記録することにより脳波による局在決定を可能ならしめているのである。一方,Magoun一派30),39),42)(1946)(1949)やJasper26)(1949)等により明らかにされた如く視床及び脳幹の網様系が大脳皮質全般と密接な機能的関係を有しており,これが障害を受けると大脳皮質全般に脳波の変化を来すことがわかっている。従つて,日常検査として用いられている頭皮上からの誘導という制約内では,腫瘍が大脳半球の表層に近ければ近いほど脳波異常との間により正確な部位的相関を把握し得る訳であり,かかる部位の腫瘍の脳波による局在診断法は現在では十分実用に供し得るにまで体系づけられて臨床脳波学の重要な部分を占むる至つている1)19),35),50),51),63)。
Copyright © 1961, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.